個人や小規模法人の不動産ビジネスというと多くの
人の頭に浮かぶのは、賃貸住宅といえます。
アパートや賃貸マンションの集合住宅、戸建賃貸住
宅、シェアハウスや民泊ハウスも含めていいかもし
れません。
しかし投資として参入するのか、商売として参入す
るのか、不明瞭なまま、ある種の参入意識の低さか
ら賃賃住宅ビジネスをはじめる人が少なくないので
はないかと感じています。
ある種の参入意識の低さとは、 「アパートやマンシ
ョンはそれほど経営手腕に左右されることなく、家
賃収入という不労所得が得られ、適切なタイミング
に売却して売却益も狙えるビジネス」 という発想を
いいます。
投資として参入する場合は、高度な情報収集能力を
もとに入口と出口の素早い意思決定のタイミングが
成否を決めます。
また、商売として参入する場合は、外部環境の変化
に応じた事業継続のための日常的営みが成否を決め
ます。
投資家と事業家ふたつの顔を持ってビジネスを行う
のは凡人(一般人)には結構ハードルが高いといえ
るでしょう。
投資としては、 「安く買って高く売る」 ことがすべ
てであり、所有している期間の 「良好な利回りの維
持」 が、最重要テーマといえます。数字が重要であ
り、例えば入居者の住みやすさの追求という定性的
なテーマには関心が薄くなりがちです。本当の中身
よりも、高く売るための 「外見」 「お化粧」 が大
切なのです。
一方、商売としては、良質な入居者に末長く快適に
住んでもらうことを目的に、
所有している期間の 「安定した経営状態」 を維持す
ることが、最重要テーマとなります。
短期的な利回りの向上より、近隣競合物件と比較し
て中長期的に選択優位性を確保することが大切なの
です。
私は、どちらにウエイトを置いてビジネスを進める
にせよ、大家としての立ち位置を明確にした方が良
いと思います。
それまでの経験からくる価値観や指向性を踏まえ、
投資が得意なのか、商売が得意なのか、があると思
います。その経営スタンスを追求することこそ、結
果として失敗がない、後悔がないように感じます。
後悔する大家さんの大半は、賃貸住宅オーナーにな
ったものの、実は投資は得意でない、商売も得意と
いえないという人なのです。
「面倒なことは弊社にすべてお任せください」とい
うのは、事業者の単なるセールストークです。
「任せておけば安心」は大家の利己的幻想でしかあ
りません。